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デザイン業務を内製化するメリットとは?内製化が向いている会社・向かない会社
デザイン業務を外注で回していると、「修正のたびに時間がかかる」「指示を出すだけで半日終わる」そんな小さな違和感が積み重なってきませんか。
デザイン業務の内製化は、スピードやノウハウ蓄積といったメリットがある一方で、すべての会社に向いている選択肢ではありません。
この記事では、デザイン業務を内製化すると何がどう変わるのか、どんなメリットがあるのかを整理したうえで、向いている会社・向かない会社の違いを具体的に解説します。内製か外注かで迷っている方が、自社にとって現実的な判断をするための材料をお伝えします。
デザイン業務を内製化すると得られるメリット

デザイン業務を内製化すると、実務の進み方や判断の質はどのように変わるのでしょうか。得られるメリットは主に以下のとおりです。
- 社内にノウハウ・知識が蓄積される
- 修正・意思決定のスピードが上がる
- ブランド表現の一貫性が保ちやすくなる
- 細かな調整が日常業務として回るようになる
それぞれ解説します。
社内にノウハウ・知識が蓄積される
外注の場合、成果物は残っても、「なぜこのデザインにしたのか」「どこで迷い、どう改善したのか」といった思考プロセスは、外部に留まりがちです。
一方、内製化すると、企画から制作、修正、振り返りまでの過程がすべて社内に蓄積されます。これにより、次の制作では同じ説明や試行錯誤を繰り返さずに済みます。
とくにデザイン業務は、ブランド理解や事業理解が成果物の質に直結する業務です。社内デザイナーは、日常的にプロダクトやサービス、顧客の反応に触れるため、自社に合った表現や避けるべき表現を体感的に学んでいます。この積み重ねが、「言わなくても伝わる前提」として社内に共有されます。
結果として、特定の担当者の経験に依存するものではなくなります。トンマナの判断、改善の方向性、過去の失敗例まで含めて蓄積されるため、担当者が変わっても品質が極端に落ちてしまうようなことはありません。
修正・意思決定のスピードが上がる
デザイン業務を内製化すると、判断までのプロセスそのものが簡略化され、修正対応や意思決定にかかる時間が短くなります。
外注の場合、修正が発生するたびに「背景の説明」「意図の共有」「認識のすり合わせ」が必要です。少しの修正でも、依頼内容の整理や文章化に時間がかかり、確認の往復が発生します。
内製化が実現すると、「なぜ直したいのか」「どこを重視したいのか」といった考え方や判断の軸を共有した状態で進めることが可能です。その場で修正の方向性を確認・決定でき、Slackや対面での一言確認だけで前に進むケースも増え、制作全体のリズムが整いやすくなります。
ブランド表現の一貫性が保ちやすくなる
デザイン業務を内製化すると、判断基準そのものが社内に共有され、ブランド表現のブレが起きにくくなります。
外注では、担当者や案件ごとにデザイナーが変わることがあり、デザイナーによって理解の深さに差が生じます。その結果、細部の表現にズレがでてしまい、「大きく間違っていないが、少し違う」デザインになってしまいかねません。
一方、内製化すると、日常的にブランドや事業に触れているデザイナーが施策の成果や社内の議論、顧客の反応を踏まえながら制作を行います。「この会社らしい表現」「避けるべき表現」が自然と蓄積されて、言語化しきれない感覚的な部分も含めて、ブランド理解が深まります。
また、複数の制作物を横断して見る視点が社内に生まれる点も重要です。Webサイト、LP、広告、資料などを同じ視点で整理できるため、媒体が変わっても印象が統一されやすくなります。これは外部に個別依頼している状態では、実現しにくい要素です。
細かな調整が日常業務として回るようになる
デザインの仕事では、色味や余白、文字のニュアンスなど、数値で割り切れない調整が頻繁に発生します。業務委託の場合、こうした調整も依頼として切り出す必要があり、「これを頼むほどでもないか」「まとめてから依頼しよう」と判断を先送りにしがちです。
内製化すると、細かな調整が特別な作業ではなく、日常業務の一部として回るようになります。デザイナーが社内にいるため、「少しだけ直したい」「一度試してみたい」といった調整を、その場で相談できます。細かな修正がコストや工数として意識されにくくなり、改善の判断が止まりにくくなります。
また、微調整を前提にした進め方ができる点も、内製ならではです。最初から完璧を目指すのではなく、仮で出して反応を見ながら詰めていく進行が可能になります。
デザイン業務を内製化した場合のデメリットと注意点

デザイン業務の内製化には多くのメリットがある一方で、進め方や前提条件を誤ると、思わぬ負担やつまずきにつながることがあります。
内製化を行った場合のデメリットとしては、以下が挙げられます。
- 内製化してもコストが下がるとは限らない
- 採用・育成に時間と労力がかかる
- リソース不足でボトルネックになりやすい
- 視点やスキルが固定化しやすい
それぞれ解説します。
内製化してもコストが下がるとは限らない
デザイン業務を内製化しても、必ずしもコストが下がるわけではありません。条件によっては、外注よりも負担が重くなるケースがあります。
内製化では、デザイナーの人件費が固定費として発生します。給与だけでなく、社会保険、福利厚生、教育、制作環境の整備なども継続的に必要です。制作量が安定して多い場合は合理的ですが、業務量に波がある場合、稼働しきれない時間もコストとして抱えることになります。
とくにデザイン業務は、「常にフル稼働するかどうか」が会社によって大きく異なります。更新や制作が集中する時期と、落ち着く時期の差が大きい場合、外注のほうが変動費として調整しやすいこともあります。
そのため、内製化を検討する際は「外注費と比較して安いか」ではなく、一定量のデザイン業務が継続的に発生しているかを基準に考える必要があります。
採用・育成に時間と労力がかかる
デザイン業務を内製化する際に見落とされやすいのが、採用と育成にかかる時間と労力です。
デザイナー市場は流動性が高く、自社の業務内容や体制が明確でないと、ミスマッチが起きやすくなります。採用後に「思っていた役割と違った」「求めていたスキルと合わなかった」と感じるケースも少なくありません。
また、デザイナーは、制作スキルだけでなく、ブランド理解、事業理解、社内の意思決定プロセスへの適応が求められます。即戦力を採用できたとしても、社内で十分に力を発揮できるまでには一定の時間が必要です。
内製化の失敗は、スキル不足そのものよりも、「任せ方」「育て方」を設計しないまま採用してしまうことで起こるケースが多く見られます。内製化を進めるならば、時間と手間がかかることも含めて検討する必要があります。
リソース不足でボトルネックになりやすい
内製の場合、対応できるデザイン業務の量は在籍人数に強く依存します。制作依頼が集中したタイミングや、急な案件が重なった場合でも、すぐに人を増やすことはできません。その結果、制作待ちが発生し、他部署の進行にも影響が出ることがあります。
とくにデザイン業務は、定常業務と突発業務が混在しやすいのが特徴です。定期的な更新作業に加えて、キャンペーン対応、急な修正、社内資料の作成などが重なると、想定していた稼働を簡単に超えてしまいます。外注であれば一時的に増員できますが、内製では負荷が一点に集中しがちです。
また、特定のデザイナーに依存した体制になっている場合、その人が忙しい、休む、異動するといった状況が、すぐにボトルネックになります。
内製化を検討する際は、「今の業務量を回せるか」だけで判断すると危険です。業務が増えたとき、重なったときにどう対応するかまで含めて考える必要があります。
視点やスキルが固定化しやすい
社内デザイナーは、特定の事業やブランドに深く関わる一方で、外部の多様な事例や考え方に触れる機会が減りがちです。表現や発想が社内基準に寄ってしまい、無意識のうちに選択肢が狭まることがあります。
また、内製体制ではスキルの偏りも起きやすくなります。一人または少人数で運用している場合、得意分野は伸ばしやすい一方で、動画、UI/UX、モーション、データ可視化など、専門性の異なる領域への対応が難しくなることがあります。外注であれば、案件ごとに適した専門家を選べますが、内製ではそうはいきません。
この状態が続くと、「今の体制でできること」に業務が引っ張られ、本来必要な表現や手法を選びにくくなります。結果として、デザインの更新が緩やかになり、改善の手応えを感じにくくなることがあります。
デザイン業務の内製化が向いている会社・向かない会社
デザイン業務の内製化は、すべての会社に向いている選択肢ではありません。
ここでは、デザイナー業務の内製化が向いている会社と、慎重に検討すべき会社の特徴を整理します。自社の状況と照らし合わせ、内製化を進めるべきか、あるいは別の選択肢を取るべきか検討しましょう。
向いている会社
デザイン業務の内製化が向いているのは、次のような特徴を持つ会社です。
- Web更新・LP改善・広告制作など、デザイン業務が継続的に発生している
- デザインを「作る作業」ではなく、改善や意思決定の一部と捉えている
- ブランドやサービスを中長期で育てていきたいと考えている
- デザイナーが企画・マーケ・事業サイドと日常的に関わる体制がある
バナー更新、ページ改善、資料作成などが日常的にあり、「毎月のように何かしら頼んでいる」状態であれば、内製化することで、修正や判断に時間を取られにくくなり、業務全体が滞りにくくなります。業務量も安定しているため、デザイナーの稼働が無駄になりにくい点も特徴です。
また、単発の制作物を仕上げることが目的ではなく、「どう改善するか」「なぜこの表現にするか」を考えながら進めたい会社では、内製デザイナーの価値が高まります。企画段階から関わることで、説明や修正のためのやり取りが減り、施策全体のスピードが上がります。
ブランドを中長期で育てたい会社も、内製化と相性があります。トンマナや過去の改善履歴、顧客の反応などを社内に蓄積しながら制作を重ねることで、表現の一貫性が保ちやすくなります。
デザイン業務の内製化を検討しているならば、デザイナーが孤立しない体制があることも重要です。マーケ担当や事業担当と日常的に会話できる環境があれば、内製デザイナーは単なる作業者ではなく、意思決定を支える存在として機能します。この前提がある会社ほど、内製化の効果を実感しやすくなります。
向いていない会社
デザイン業務の内製化を慎重に考えたほうがよいのは、次のような特徴を持つ会社です。
- デザイン業務の発生頻度に大きな波がある
- 案件ごとに求められるデザインの種類や専門性が大きく異なる
- デザインの役割が制作物を仕上げることに限られている
- デザイナーに任せる範囲や判断基準が社内で整理されていない
キャンペーン時期だけ制作が集中し、平常時は依頼が少ない場合、内製デザイナーの稼働にムラが生じます。デザイン業務は「待ち時間」が価値を生む仕事ではないため、業務量が読めない状態では固定費の負担が大きくなりかねません。
また、グラフィック、Web、UI/UX、動画、モーションなど、案件ごとに異なるスキルが必要な場合、内製だけですべてをカバーするのは現実的ではありません。内製では対応できる表現が「今いる人の得意領域」に引っ張られやすくなります。
デザインを「依頼されたものを形にする作業」として扱っている会社も注意が必要です。内製デザイナーは、改善や判断にも関わることで力を発揮します。制作物の背景や目的が共有されず、「とりあえず作ってほしい」という依頼が中心になると、内製化しても外注と大きな違いが出にくくなります。
役割設計が曖昧なまま内製化すると、失敗につながりやすくなります。「どこまで判断してよいのか」「誰が最終決定をするのか」が決まっていないと、デザイナーは動きづらくなり、属人化や停滞が起きやすくなります。
デザイン業務は内製と外注、どこまで分けるべきか

デザイン業務は、必ずしも内製か外注かのどちらか一方に決める必要はありません。内製と外注では、それぞれ得意とする領域が異なるため、併用する体制を整えるのも選択肢の一つです。
内製に向いているのは、継続的に発生し、改善を前提に進めるデザイン業務です。たとえば、WebサイトやLPの改善、広告バナーやSNSクリエイティブの更新などがあります。
一方、ブランディング刷新、CI・VI設計、UI/UXの初期設計、動画やモーション制作など、一時的または専門性の高い業務は外注向きです。
たとえば、日常的な更新や改善、トンマナ管理は内製で担い、専門性が高い設計や一時的な制作は外注に任せる。この分け方であれば、内製化のメリットを活かしながら、内製だけではカバーしきれない部分を補えます。
さらに、内製化は一気に切り替えるものではありません。最初はバナーや軽微な更新だけを内製にし、その後LP改善や企画段階への関与を増やす、といった段階的な進め方が理想です。リスクを抑えながら自社に合った体制を見極められます。
デザイン業務は性質の幅が広いため、完全内製・完全外注のどちらかに寄せると無理が出やすい仕事です。業務ごとに得意な役割を見極め、併用しながら段階的に調整していくといった視点を持つことが失敗しないためのポイントです。
内製化か業務委託か迷ったときの考え方と相談先
「デザイン業務を内製化するか、外注を続けるか。」迷った時に大切なことは、どの工程を社内に残し、どこを外に任せるかという視点です。
日常的な改善や判断が必要な業務は内側で回したほうが成果につながりやすい一方、専門性が高い業務や一時的な対応は、外部の力を借りたほうが合理的な場合もあります。内製と外注は対立する選択肢ではなく、役割を分けて使い分けるものです。
スピードを重視するのか、品質や専門性を優先したいのか、ノウハウを社内に残したいのか、何を重視するかによって、最適な体制は会社ごとに変わります。
だからこそ、「すべて内製にする」「外注をやめる」といった極端な判断を急ぐ必要はありません。
とはいえ、これらをすべて社内だけで整理するのは簡単ではありません。デザイン業務は日常業務に溶け込んでいるため、前提や慣習に気づきにくく、「どこまで内製にするべきか」「何が外注向きなのか」という判断軸が曖昧になりがちです。
第三者の視点を入れることで、業務を客観的に分解でき、今すぐ内製にすべき領域、外注を活かしたほうがよい領域、試しに内製してみる余地が整理しやすくなります。
内製と業務委託の「中間」という選択肢「thinc Agent(シンクエージェント)」

「内製化したいが、正社員採用までは踏み切れない」
「外注だと、スピードや品質に不安が残る」
そんなときは、内製と外注の中間にある選択肢を知っておくことも重要です。
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